おわりのない朝1945.8.6
曲名
おわりのない朝 1945.8.6. 被爆ピアノのために
The eternal morning 1945.8.6.
作曲者
助川敏弥
編成
器楽
発表
発表日:1983.8.21 NHK『現代の音楽』
演奏者:村上弦一郎 ピアノ、広島交響楽団、黒岩英臣 指揮
録音 NHK広島放送局・NHK東京電子音楽スタジオ 技術:横山民夫 制作:原武
楽譜・音源
備考
電子音楽・弦楽オーケストラ・被爆ピアノのための。
1983年NHK広島放送局の委嘱によって作曲される。同年、8月放送初演(『現代の音楽』)、11月には文化庁芸術祭参加作品として再放送(同番組)される。1984年にはアメリカ・カリフォルニア州で放送、1985年にはユーゴスラヴィアでも放送され、共に反響を呼んだ。
作曲者の言葉:「この曲は、1945年8月6日の原爆投下により損傷を受けたが焼失を免れ残った小型ピアノのために作曲されたものである。このピアノは近年修復が試みられ、再び演奏が可能となったもので、現在広島市の平和資料館に展示されている。外板に無数にガラス片が食い込んだままの姿で原爆投下の凄惨さを伝えるものとなっている。曲は、この楽器を中心に弦楽合奏を加え、さらに、さまざまな電子音、具体音により磁器テープ定着作品として完成したものである。もともと世界に一つしか存在しない楽器によるものであるため、再演作品としては成立不可能であり定着作品としてしか成立しえないものであった。第一次音声資料の乏しさゆえに、第一部のみを現実音のみによる手法とした。ここでは運命の日の朝の市民生活を描いている。遠くの子どもの声、市電の音、繁華街のざわめき、軍人の号令の声、小型船の音、やがて空襲警報のサイレン。それに続くのは、当時、アメリカ軍参謀本部が現地軍に対して発した原子爆弾投下の命令書の最初の部分である。これにB29爆撃機の爆音が続く。これは記録された本物のB29の爆音である。秒針音がこれに加わり、緊張が頂点に達したところで、変調された人間の叫びが響き、弦楽器群が展開し、被爆ピアノが導入される。以下、被爆ピアノ、弦楽、電子音楽がさまざまにからまり組み合わせれて進行する。工学的技術も当時可能なだけ用い、多重録音による六声のカノン風展開も現れる。悲劇的な短い動機の展開により緊張が高まったあと、頂点で突如中断、鐘の音が長く鳴り響く。この鐘の音は、終戦翌年、広島での第一回平和祈念式のものである(NHK広島局の資料室から発見したもの)。ここから被爆ピアノは通常のピアノに替わり、人間と人道の復活を象徴する。」

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